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Your Perch
~心の止まり木~

セルフコンパッション(自己への慈しみ)とは。甘やかすこととは異なる理解
セルフコンパッション(self-compassion)は、Kristin Neff(2003)の研究をきっかけに広く知られるようになった概念です。 日本語では「自己への思いやり」や「自分への慈しみ」と訳されます。 それは、 自分の苦しみに気づき、それに対してあたたかく応答しようとする姿勢 のことを指します。 つらいとき、失敗したとき、思うようにできなかったとき、 私たちは、自分に対してとても厳しくなってしまうことがあります。 「どうしてできないのだろう?」 「また失敗した」 「自分はダメだ」 その声は、励ましのつもりであることもあります。 けれど同時に、強い緊張や不安、恥を生み出し、結果的に自分を苦しめてしまうこともあります。 そんなときに支えとなる考え方が、セルフコンパッションです。 セルフコンパッションは、主に3つの要素から成り立っています。 ① 自分への優しさ(Self-kindness) 自分を厳しく裁くのではなく、困っている友人に向けるような言葉を自分にも向けてみる姿勢です。 これは「甘やかす」こととは異なります。とても大切なことな

popo
2月11日読了時間: 4分
SNSで吐き出すことと、守られた空間で語ること
〇顔の見える誰かに、寄りかかるということ SNSは無料で手ごろで身近なツールとなっていて素晴らしい側面があります。 誰かに聞いてほしくて、つらい気持ちのやっとの吐き出し場所として、SNSに気持ちや言葉を吐き出してみる。 ときに同じような人からの慰めの言葉、共感の反応、アドバイスなどを求めて…。 そんなご経験をお持ちの方もきっと少なくないでしょう。 身近だからこそ手軽に利用しやすく、「ひとりじゃない」と感じられることもあり、心が軽くなるような、喜びがわいてくるような、そんな瞬間もある。 確かにSNSにはそんな側面が存在していると思います。 しかし、一方で誰かと”つながっている”はずなのに、満たされない、なにかが足りない、満たされた感じが持続しない…。 そういった感覚を抱いたことのある方もまた、少なくないだろうと思います。 SNSで気持ちを吐き出すことと、実際に存在を感じる特定の相手、顔の見える誰かに気持ちを預けることは、似ているようで、心の中で起きていることは大きく違います。 今回はSNSと存在を感じる人とのつながりの違いについて書いてみたいと思い

popo
1月19日読了時間: 7分
わからない行動の奥にあるもの ― 二つのまなざしで人を見るということ
誰かに「理解が難しい」「なんでだろう」と感じる行動があるなと思ったことはありますか? あるいは、ご自身について、そんな行動をしているのではないか、そんな行動をしてしまっている気がすると感じられるようなことはあるでしょうか。 ずっと寝ている、お酒をたくさん飲んで人・行動が変わる、ゲームに没頭する、避ける、リストカットをする、人に冷たく当たってしまう……。 それらの表面だけを切り取って見れば「よくないこと」「問題行動」と言われてしまいやすい姿です。 誤解を招きやすい言葉やその印象のそこだけ切り取られて、ときに差別や偏見が助長されることがある様子を感じては悔しい思いをすることは、臨床をしている中で決して少なくありません。 ときに人から理解を得られづらかったり、怠けている、甘えているといった見方をされることもしばしば生じていることを理解しています。 ですが、こういった行動は、誰もが人生のどこかで経験しうる“人間らしい反応”でもあります。それをしたら、もうダメだ、ということでは決してありません。 こうした行動の裏側には、 その人が必死に守ろうとしている何か

popo
2025年12月7日読了時間: 5分
Adolescence(アドレッセンス)の感想メモ(内容に触れているのでご注意ください)
話題のNetflixの『アドレッセンス』を観ました。 以下に内容に触れた私の個人的な感想をしたためますので、まだ本作品をご覧になっていない方は十分にご注意ください。 現在住んでいるロンドンの友人の多くも観たとのことで、一緒に考察や感想で話が膨らむほどでした。本当に話題の作品なんだなと言うことが感じられています。 全4話(1話50~1時間ほど)で、あまりの臨場感から入り込んでしまい4話一気に観てしまいました。サイドに用意していたコーヒーは気がついたらすっかり冷めてしまっていました。 観終えたあと、胸の奥がずーんと重いような、スッキリとはいかないような、ひっかかるような、でも希望も確かにあるような、そんな感覚を覚えました。 イギリスで暮らし、心理の仕事をしている状況である今の私の視点からは、「ああ、いまこの瞬間にも、どれだけの人が目に見えない心の溝を歩いているのだろう。」そんな想像が刺激されるようなストーリーでもありました。 思春期の“影”と”もがき” 主人公は13歳の男の子、ジェイミー。 ある朝殺人の容疑で逮捕されるところから物語が始まります。

popo
2025年11月27日読了時間: 6分


”評価”されないつらさとは
「こんなに頑張っているのに、誰もわかってくれない」 「SNSで”いいね”や”♡”がつかない、伸びない」 「自分だけ厳しく扱われている気がする」 「どうしてあの人ばかり評価されるんだろう」 そんな思いを抱えながら、日々仕事や子育て、人間関係の中で人知れず踏ん張っている方は多いと思います。 努力しても報われない、認められない、軽んじられている気がする。こういった思いは決して「心が弱いから」でも「プライドが高いから」生じるものではありません。 むしろ、人が人らしく生きるための根源的な欲求が傷ついたときに起こる、自然で健全な反応です。 最近では仕事や家庭、人間関係だけでなく、SNSにまつわるトラブルもよく見聞きするようになったように思いますが、人間のありのままの欲求とその時代ならではの社会のあり方との相互関係の中で生じている難しさがあるのですね。 評価されないと感じられる、あの人は○○なのにどうして自分は…と人と比較してしまって苦しい思いをされている方へ、少し緩むことが出来るヒントがあることを願いながら本記事をまとめてみます。 〇人はなぜ「評価されない」

popo
2025年11月7日読了時間: 7分


色彩を取り戻す、カウンセリングという体験
色彩を取り戻す対話 ― 開かれた共感と「ともに在る」関係性 ― 海外での暮らしや日本国内の転居を重ねるなかで、文化や言葉の違いが新しい光を投じる瞬間があります。その光はたくさんの新しい刺激を含んでおり、ときに眩しく、ときに影をつくります。たとえば、心の隅に隠されていた感情や考えがふと浮かび上がってくるような、そんな瞬間です。けれどその刺激が織りなす光と影の中で、人と人とが、あるいは自分自身に、出会いなおす時間が生まれるのだと、私は感じています。 私は臨床の場で、クライエントの苦しみを「治したい」「解決したい」と考えているわけではありません。もちろん、回復は願います。ですが、それよりも、 開かれた共感と自己一致を保ちながら、その人の世界をともに歩くこと を大切にしています。 私たちの関係は、時に泥水がじんわりと染み込みこんでいくように、綿あめが水に溶けていくように、異なる存在同士が溶けあい混ざり合うような、 関係が深まる体験が少しずつ積み重なっていきます 。 カウンセリングは、そうした体験を重ねる中で、やがて色彩を取り戻していくような旅でもあります

popo
2025年11月3日読了時間: 5分


心の「回復」とは?
心の回復というと、どのようなイメージが湧くでしょうか。 「元気になる」 「前の自分に戻る」 「もう大丈夫になる」 そんなイメージを抱かれる方もきっとたくさんいらっしゃるかと思います。 なにか大きな出来事があって傷ついた心、細かな傷つきを重ねて複雑に傷つき疲れてしまった心…いろんな場合がありますね。 結論からお伝えすると、実際の“心の回復”は、決して一直線の道ではありません。 揺れながら、迷いながら、時に後戻りしながら進むような、複雑さを持っていることがほどんどです。 臨床心理学やリカバリー研究では、回復は「苦しみが消えること」ではなく、**“苦しみと共に生きながら、自分らしさを取り戻していく過程”**と捉えられています。 重要なのは「症状が完全に消えること」ではなく、たとえ困難や制約を抱えていても「自分らしく、意味ある生活を再構築する力」を取り戻すことです。 以下でもう少し詳しく研究を紹介しつつ考えてみたいと思います。 〇回復は「元に戻ること」ではなく「新しい自分と出会うこと」 アメリカの心理学者ウィリアム・アンソニー(Anthony, 1993

popo
2025年10月21日読了時間: 7分


日々の生活の中のスキル、SSTとは?
SSTという言葉を聞いたことはありますか? SST : Social Skills Training は、「社会生活技能訓練」とも呼ばれます。 そういうとなんだか堅苦しい感じがしてしまうかもしれませんが、SSTの内容は、日常生活の中のあらゆる社会的なスキル全般を指すようなイ...

popo
2025年10月9日読了時間: 6分
非認知能力とは?心を育てる力のおはなし
今回は「非認知能力」という、ちょっと聞き慣れないけれど、とても大切な力についてご紹介してみたいと思います。 AIの進化が目覚ましく、知識は機械に代替されていくことが予想されています。 その中で、私たち一人一人の人間に大切な力として、人間らしい共感力や創造性がますます価値を持...

popo
2025年10月3日読了時間: 4分


「できる子」「あの子は大丈夫」の抱える見えない苦しさ
性格が良い、成績が良い、など、学校や生活で「問題がない」と見なされやすい子どもたちにもまた、深い悩みがあることは決して少なくありません。 ギフテッド(高能力児)や「できる子」にしばしば見られる問題として、勉強や授業が簡単すぎて苦痛・わかってもらえない孤立感・完璧主義やプレッ...

popo
2025年9月24日読了時間: 3分


いじめ とどう向き合えるか、支えられるか
最近「いじめ」という言葉を耳にすることが増えたかもしれません。 ニュースや学校の報告では、認知件数が過去最多といわれることもあり、社会的にも重要なテーマのひとつともなっています。 件数という数字だけを見るとショックや不安を受けやすいかもしれませんが、いじめということに対して...

popo
2025年9月23日読了時間: 4分


十分すぎるほど頑張っているあなたへ
本当に多くの方が、毎日頑張っていらっしゃると思います。 そしてそれらはときに、頑張りすぎているように感じられることさえあります。 仕事や子育て、家事などのタスクに追われ、自分の時間をほとんど持てずに、心に余裕が持てない、気持ちが休まらないといったしんどさを抱えている方は決し...

popo
2025年9月15日読了時間: 4分


子ども連れでの海外生活と「なじむ」までの時間
海外で生活を始めるとき、大きなストレスを感じることがあります。 移住のための準備から、現地で言葉が思うように通じない、土地勘がまだない、雰囲気や習慣の違いへの戸惑い、文化や食事の違い、頼れる人が少ない──そんな環境の中で、孤独や不安、緊張感を抱えながら毎日を過ごしていくこと...

popo
2025年8月29日読了時間: 5分


生活環境の変化と心の変化 海外で暮らすということ
「海外で暮らす」「海外生活」というと、どんなイメージが湧きますか? 私自身は現在イギリスで生活をしており、かつてはアメリカで過ごした時期もありました。 日本を離れて海外で生活することは、本当に様々な意味で日々たくさんの刺激の連続でした。 みなさんの場合はいかがでしょうか?...

popo
2025年8月26日読了時間: 5分


心のケアと安心できる場所
日常のなかで、ふと胸に重くのしかかる「悩みごと」。 それは私たちの生活の中にある、仕事や人間関係、生活の変化といった心理社会的なストレスから生まれることが多いものです。こういった心理社会的なストレスは、日々のあらゆるところに存在しており、生活の中で静かに積み重なっていき、そ...

popo
2025年8月25日読了時間: 4分


見えない「こころ」とそれに寄り添う言葉の狭間で。
こころって、ふしぎです。 目に見えないし、触ることもできないのに、たしかにある。 うれしい、かなしい、イライラ、ホッとする気持ち。。。 どれも大切で、その人だけのかけがえのないものです。 私は、心理学という学問を通して、「こころ」について学び続けています。...

popo
2025年7月21日読了時間: 5分


ウェルビーイング(Well-being)ってなんだろう
前回の記事「自分らしく人生をよりよく生きる、って?」でも少し触れました、【ウェルビーイング(Well-being)】について、今回はもう少し詳しくしたためてみたいと思います。 誰かのこと、過去や未来のことに悩んだり考えたりする私たちですが、自分自身に対してはどれだけ気にかけ...

popo
2025年7月3日読了時間: 5分


自分らしく人生をよりよく生きる、って?
自分らしく、自分の人生をよりよく生きるって、なんだろう… 自分の人生に満足しているだろうか、まあこんなもんかな、と受け入れられているでしょうか。 こんなはずじゃなかった、と悔やんだり、誰かを恨む気持ちが湧いてきたり…そういったこともときにはあるかもしれませんね。...

popo
2025年7月1日読了時間: 5分


恥ずかしい という感情
1. 恥ずかしい という感情とは? 恥ずかしさ とは「自己意識の感情」(self‑conscious emotion)に分類される、自意識が関係する感情で、自分が他人からどう見られているか想像することで生まれます。これは自己評価が他者視点によって揺れるときに生まれる感覚で...

popo
2025年6月20日読了時間: 4分


SNSでモヤモヤしたとき、自分を守る優しい工夫
今回は、「SNSでの人間関係に疲れたとき、どうしたらいい?」という内容について考えてみたいと思います。 みなさんはSNS使っていますか?様々なSNSがあって、いろんな人と繋がり生活の様子や考えがシェアできるようになりましたね。...

popo
2025年5月27日読了時間: 6分
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