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非認知能力とは?心を育てる力のおはなし

今回は「非認知能力」という、ちょっと聞き慣れないけれど、とても大切な力についてご紹介してみたいと思います。

AIの進化が目覚ましく、知識は機械に代替されていくことが予想されています。

その中で、私たち一人一人の人間に大切な力として、人間らしい共感力や創造性がますます価値を持つ、という考えがあるのです。


また、私たちはつい子どもが成長していくにつれて「勉強ができるかどうか」や「点数や成績」で成長を見てしまうことがありますよね。

もちろん、勉強、知識といった認知能力と呼ばれる力を育むことも大切です。

一方で、心理学や教育学の研究では、それだけでは人生の豊かさや幸せを説明できないことが分かっています。むしろ、「数値で測れない力」が、学びや人間関係、そして将来の幸福感に深く関わっているのです。


「非認知能力」って?

テストやIQテストなどで測れるのが「認知能力」だとすると、それ以外の、目に見えにくい力を「非認知能力」と呼びます。

たとえば

  • がんばって続ける忍耐力

  • 気持ちを落ち着ける自己コントロールする力

  • 友だちの気持ちを思いやる共感力

  • 協力して取り組む力

  • 「やってみよう」と思える自己効力感

  • 正解のない問題に取り組み自分らしく解決していこうとする力

こうした力は、日常の小さなやり取りや経験のなかで少しずつ育っていきます。


なぜいま大切なのか?

ノーベル経済学者のジェームズ・ヘックマンは、子どもの教育を長期にわたって調べる中で「非認知能力が、その後の学業や仕事、健康、人生の満足度にまで大きく影響する」と発表しました。

つまり、勉強の成績よりも、むしろ「自分や人との関わり方」が、長い目で見れば幸せを決めていくのです。

AIやデジタル技術が進む現代だからこそ、人にしか持てない「共感」「協力」「創造性」がますます大切になっているのかもしれません。



世界で広がるSEL(社会情動的学習)


アメリカでは「SEL(Social and Emotional Learning)」という学びの仕組みが学校に広がっています。

以前私もブログやInstagramなどでも紹介させていただいたことがありますので、ご関心のある方はそちらもご覧くださいね。


SELでは、子どもたちが自分の感情を理解したり、人と協力したり、よりよい選択をする力を育てていきます。

心理学の大規模な研究(Durlakら, 2011)によると、SELを取り入れた子どもたちは:

  • 学業成績が上がる

  • 問題行動が減る

  • 対人スキルや幸福感が向上する

という成果が見られています。


日本でも「生きる力」「非認知能力」という形で少しずつ注目されはじめています。

WHOでも、若者のメンタルヘルス戦略の一環として、「学校ベースの社会情動的学習プログラム」があらゆる国で効果的(=有効な手段の一つ)であると位置づけられています。

大切なポイントは、「自分らしく」というところです。

日本ではすでに道徳教育などありますね。

集団主義的な文化的背景を考えると仕方のないこと(集団主義だからこその良さがあるのはもちろん)ではあるのですが、SEL教育を考えたとき、ときどき悩ましく感じられるときもあります。

例えば「相手の気持ちを考えましょう=だからこう行動しましょう」といった一方向的なメッセージとなってしまうと、子どもが「自分の気持ちをどう扱うか」を学ぶ機会が少なくなってしまいます。

SELのゴールは「子どもを型にはめること」ではなく、個人が自分らしく、他者と健やかに関わりながら生きられるようになることなのです。

そういった流れからも、非認知能力を育むためのツールとしてSEL教育で扱う観点はとても役立つものと考えられます。



日常でできる小さな工夫


ちょっと話がずれてしまいましたが、非認知能力について話を戻してみましょう。


「そんな力、家庭で育てられるの?」と感じるかもしれませんが、実は日常の中でもできることがたくさんあります。

  • 子どもが気持ちを表現したら「そうなんだね」と言葉で受けとめる

  • うまくいかなかったときに「挑戦したこと自体がすばらしい」と伝える

  • 家族で協力する小さな経験(料理や片づけ)を大切にする

  • 役割や簡単な仕事(お手伝い)をお願いする。「助かったよ」「ありがとう」といった言葉を伝える。


…など、こうした積み重ねが、子どもの心の筋肉を少しずつ育てていきます。

日々の小さな関わりの積み重ねの中で、育んでいくことのできる力(スキル)なのですね。


おわりに

非認知能力は「見えにくい力」ですが、人生を支える大切な土台です。

勉強や成績だけにとらわれず、自分は自分だ、大丈夫だ、失敗しても立ち上がれる、やってみよう、誰かの支えとなりたい、相手の気持ちを想像する…

子どもも大人も、そういった「心の力」を育てていけることで、きっと逆境に耐える力も育まれ、日々がさらに彩り豊かになっていくのではないでしょうか。


子育てや暮らしの中で、不安や迷いを感じることがあるかもしれません。

そんなときは「数値に表れない力も、かけがえのない宝物なんだ」と思い出していただけたら嬉しいです。

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