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心の土台をつくる教育、SEL(Social and Emotional Learning:社会性と感情の学習)とは

  • Writer: popo
    popo
  • 1 day ago
  • 4 min read

「最近、子どもの気持ちがわからない」「小さなことですぐに泣いたり怒ったりしてしまう」——

そんなふうに感じられるとき、ありませんか?

なかなか理解しきれずに難しく感じられてしまうことがあるかもしれません。

それはひとつとても大切な思いであり、自然なことでもあります。


子ども(より小さい頃は特に)が自分の気持ちをうまく言葉にできなかったり、感情に振り回されてしまうのは、よくある自然な姿です。

実は今、そうした子どもたちの“心の力”を育てる教育アプローチが、世界中で注目されています。それは「SEL(Social and Emotional Learning,社会性と感情の学習)」です。

ここロンドンでも、学校や地域の取り組みの中で少しずつ広まりつつあるSEL。その考え方や日常での取り入れ方について、今日はご紹介してみたいと思います。


SELとは?

SEL(Social and Emotional Learning)は、直訳すると「社会性と感情の学び」です。

もっとわかりやすく言いかえると、「気持ちを大切にしながら、人とつながっていく力」を育てる取り組みです。


たとえば、

  • お友だちに嫌なことをされたとき、「いやだった」と伝える練習

  • 自分の気持ちを“怒り”だけでなく「さみしさ」や「悔しさ」として言葉にする力

  • ケンカしたときに「どうやって仲直りできるかな?」と考える時間

  • 困ったときのストレスへの対処の仕方

こうした心のやりとりは、子どもたちにとって、とても大切な“人生のスキル”になります。


SELはどんなふうに行われているの?

アメリカやオーストラリア、スウェーデンをはじめとする北欧諸国など世界各国で、SELは学校や保育園の日常に自然に取り入れられているようです。

ある小学校では、朝の会の時間に「今の気持ち」を色やカードで表現するアクティビティをしています。

赤はイライラ、青はしょんぼり、黄色はワクワク——そんなふうに、先生も子どももお互いの気持ちを確認し合う時間が、安心と信頼のベースになります。


他にも、

  • 絵本の登場人物の気持ちを想像してみる

  • ペアワークで「どうしたら思いやりを持てるか」を話し合う

  • 「モヤモヤしたら3回深呼吸」のような、感情の調整法を覚える

など、遊びや対話の中で無理なく行われています。


どんな効果があるの?

SELは「心を育てる教育」であると同時に、「学びを支える土台」でもあります。

アメリカの研究では、SELを取り入れた学校の子どもたちは、そうでない学校の子どもたちに比べて、

  • 社会的スキルが高まり

  • 問題行動が減り

  • 気分の落ち込みが少なくなり

  • 学力も平均して向上した

という結果が出ています(Durlak et al., 2011)。

心が安定していると、集中力や学びへの意欲も自然と高まっていくのです。


なぜ、今このタイミングでSEL?

今の子どもたちは、想像以上に忙しく、刺激にあふれた毎日を送っています。SNS、家庭や学校での期待、変化の多い社会環境——心が疲れてしまう場面も少なくありません。

そんなときこそ、安心して「今の気持ち」を表現できる場所が必要です。

SELは、特別な子どもだけのものではなく、すべての子どもたちの発達を支える“予防的”なアプローチです。

心のケアを「特別な支援」ではなく、「日常の習慣」にしていくための大切な視点とも言えます。

YourPerchでも、小さく子どもの心の健康への予防的なアプローチ、学びの提供を開催していく予定です。


家庭でもできる、小さなSEL

SELは、家庭でもほんの少しの工夫で取り入れられます。

  • お迎えのとき「今日は楽しかった?どんな気持ちだった?」と聞いてみる

  • 泣いている子に「悲しいんだね」と気持ちに名前をつけてあげる

  • 兄弟げんかのあとに「どうすればよかったかな?」と一緒に考えてみる

こうした関わりを繰り返すことで、子どもは「自分の気持ちはわかってもらえる」と安心し、感情を言葉にする力が少しずつ育っていきます。

まず私たち大人から、気持ちに寄り添う姿勢を見せること——それがいちばんのSELです。


最後に

SELは、子どもの“心の根っこ”を育てる大切な営みです。

大きな木がゆっくりと根を張るように、心も時間をかけて少しずつ育っていきます。

その過程に、大人のまなざしと、小さな対話があることで、子どもは安心して自分を育てていくことができるのです。

教育でも家庭でも、完璧を目指さなくて大丈夫。

「ちょっと気にかける」「ちょっと声をかけてみる」——そんな日々の積み重ねこそが、子どものレジリエンス(心のしなやかさ)につながっていきます。

SELという考え方が、日本のご家庭にもじわじわと広がっていくことを願っています。

心の育ちを、いっしょに大切にしていけたらうれしいです。


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