心を守る力はどのように育つのだろうか
- popo

- 3月12日
- 読了時間: 4分
人の心の危機を理解するとき
「リスク因子(risk factors)」と「保護因子(protective factors)」という考え方が使われることがあります。
リスク因子とは、心の不調や自殺などのリスクを高める可能性がある条件のこと。
例えば研究では、次のようなものが挙げられています。
*リスク因子
うつや不安などの精神的な困難
孤立や社会的サポートの少なさ
トラウマ体験や虐待
経済的困難や大きな喪失
過去の自傷・自殺企図
アルコールや薬物の問題
こうしたものは、一つだけですぐに何かが起こるというわけではありませんが、重なっていくと危険性が高まりやすいとされています。
また、心理学の研究ではリスク要因だけでは未来を予測できないということも大切なポイントです。
どんなにリスクがあっても必ず危機に陥るわけではないし、
逆に一見問題が少ない人でも苦しみを抱えることがあります。
だからこそ、もう一つの視点が大切になります。
それが保護因子(protective factors)です。
*保護因子
困難な出来事が起きても心が壊れてしまうのを防いだり、回復を助けたりする要素のこと。
例えば研究ではこんなものが挙げられています。
個人の力
感情を理解し調整する力
問題解決スキル
自尊感情
希望や意味を感じる力
レジリエンス(回復する力)
人とのつながり
家族とのつながり
信頼できる大人や友人
社会的サポート
社会や環境
学校やコミュニティへの参加
安全で安定した環境
支援サービスへのアクセス
こうしたものは人生の困難を完全に消してくれるわけではありません。
でもそれぞれが少しずつ衝撃をやわらげるクッションのような役割をしてくれる、そんなイメージが合うのではないかと考えます。
心の教育が大切だと言われる理由
最近、日本でも非認知機能教育の大切さが訴えられているようですね。
これからの世界を生きていくことを考えた時、とても大切な能力だと私も感じています。
世界にも信頼できるエビデンスベースドな教育サービスもたくさんありますよね。
WHOでのサイトでも確認できますが、世界的にも
SEL(社会情動学習)
ウェルビーイング教育
レジリエンス教育
などが重視されているのはこの「保護因子」を育てるという狙いがあるようです。
例えば、
自分の気持ちに気づく
相手の気持ちを想像する
困ったとき助けを求める
問題を一緒に考える
ストレスを整える方法を知る
こうした力について、学校の授業でしっかりと取り上げられることは、まだあまり一般的ではないかもしれません。
もしかしたら、生きていく中で自然と身につけて行く力、という認識もあるかもしれませんね。
そういう側面も確かにありますが、感覚ではなく科学的に研究されたスキルや方法というものも存在します。
料理も、音楽も、どんな勉強も、自分の感覚だけでなく、基礎を学びますよね。
心も同じです。日常生活に生かすための正しい知識や学びが存在します。
この保護因子についても、生きる力そのものと言えるかもしれません。
そして興味深いことに、保護因子を育てる取り組みは
暴力
依存
学業の問題
など、さまざまな困難を同時に減らす可能性があることも研究で示されています。
心は個人だけで守るものではありません。
我慢や努力だけで乗り越えるような精神論でもありません。
誰でも心が揺らぎうる、疲れたりしんどくなることがある。
そんな当たり前を自分にも当てはめて、
そんなときどうすることができるかを知ること、
知って体験すること、
安心できる人話せる場所つながり、
それらがあるとき、お守りのように存在するだけでも
人は驚くほど回復する力を持つこともできうるのです。
私がグループの場で大切にしているのも
まさにこの「保護因子」を育てることです。
例えば
気持ちを言葉にしてみる
相手の話を聴いてみる
ものの見方を少し広げてみる
心を落ち着かせる方法を知る
どれもとても小さなことです。
でもそれらはきっと、
人生のどこかで自分や誰かを守る道具になりえます。
大したことのないように思えるスキルや経験が、いつかのある時点で、つらさを和らげたり、回復を助けてくれる力となるかもしれません。
ちいさいように思えることでも、それでどんな風に自分の気持ちが動くか、
感じてみることはとても重要な体験となりえます。
方法を知って、わからないことは質問をしたりしながら、自分や、誰かのために、
心を大切にする力を学びスキルを身につけて行くことは、いつからでもできます。
自分にはどのような方法が合うだろうか、
家族や子供にも伝えたいことは何だろうか、
誰かと一緒に学んでみようか、
そんな思いをふと抱いた方は、メンタルヘルスを向上していくためにも、ぜひ一歩を踏み出して、日常生活に生かせる心の学びついて触れて、体験してみていただけたらと願っています。


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