恥ずかしい という感情
- popo
- Jun 20
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1. 恥ずかしい という感情とは?
恥ずかしさ とは「自己意識の感情」(self‑conscious emotion)に分類される、自意識が関係する感情で、自分が他人からどう見られているか想像することで生まれます。これは自己評価が他者視点によって揺れるときに生まれる感覚であり、自己の欠点や失敗を意識し、他者から否定的に評価されるのではないかという恐れを伴う特徴があります。
また、「自分自身は価値ある存在である」という無意識の感覚に傷がつくことで恥ずかしさや怒りを感じられることもあるという考えもあります。
脳では、羞恥・罪悪感などの自己意識系の感情は、前部島皮質と前頭・側頭・辺縁系ネットワークで強く活性化されることが確認されているようです。
扁桃体の活性化:緊張や恐怖と似たアラート機能が働きます 。
前部島皮質との連携:羞恥心や自己評価、共感に関する処理が起こります 。
前頭前野の活動:行動の抑制や反省的思考、社会的判断がなされます 。
この複合的な神経ネットワークにより、恥ずかしさの感情が生まれているのです。
2. なぜ恥ずかしくなるの?
恥ずかしい感情には、あまり良いイメージを抱きづらい方も少なくないかもしれません。
ですが、恥の感情には以下のようなメリットもあります。
〇社会的調和を保つ役割
恥ずかしさは「公共の場での儀式的謝罪」のような働きを担う部分があり、他者との関係修復や信頼回復に役立ちます。たとえば、物を倒してしまって恥ずかしがる人は「気づいていて誠実」と受け止められやすい、といった具合です。
〇 社会的ブレーキ機能
公共の場での恥ずかしさは、「不適切な行動を抑えるブレーキ」として働き、社会的に協調的、調和的な行動を促進すると考えられています。
〇 共感や連帯感を育む
他人が恥ずかしがる様子を見ると共感が起こり、私たちも一緒に「気まずさ」を感じます。これは社会的な繋がりを強くする感情です 。
過度な恥はどうなる?
恥の感情を抱くことは誰にでも生じる自然なことではありますが、その恥ずかしさが過度になってくるとデメリットが生じてくる場合もあります。
〇過度に感じると挑戦しにくくなる
恥ずかしさを極端に恐れると、人前で表現を避けたり、新しいことに挑戦しにくくなります。社会不安障害の一因にもなると指摘されています 。
〇 偏った自己評価の原因に?
強い恥の感覚が慢性化すると、自分の評価が過度に低くなることがあります。羞恥心との境界があいまいになると、自己肯定感を損なうリスクも 生じてくるという考えもあります。
4. 「恥ずかしい」に上手に向き合うヒント
誰でも自分を守る機能の一つとして持っている感情、「恥」。代々受け継がれてきた人間らしさ、生きていくために必要な脳の働きではありますが、それでもこの感情に苛まれてしまって辛くなったり身動きがとりづらくなってしまうこともあるかもしれません。そんなとき、どのように恥ずかしさと付き合っていくと良いのでしょうか。以下にいくつか記載してみたいと思います。
① 感情にラベルをつける(ラベリング)自分の恥ずかしさを認めてみる
自分の恥ずかしさを認めることは、とても勇気が必要かもしれません。ですが、ありのままの気持ちを受け入れることも等身大の自分を受け入れていくために必要なプロセスとなるかもしれません。
落ち着いて、「今、私は恥ずかしいと感じているんだな」とラベルづけすると、感情は少し和らぎます。
② 軽く笑い飛ばすユーモアを取り入れる
可能な範囲で、「失敗しちゃったな」と笑える視点を持つことで、怒りや挑戦抑制から自分を解放できるかもしれません。
③ 小さな挑戦を積み重ねる
人前でちょっと声を出してみるなど、小さな挑戦をする体験を増やすと、恥ずかしさへの耐性が徐々に育ちます。認知行動療法でも用いられる手法です。本当に少しずつで大丈夫ですので、出来そうなところから少しずつ取り組んでみることが出来るといいですね。
④ 信頼できる人に話す
専門家や信頼できる友人に恥ずかしい体験を語ることで、情緒のカタルシスが促され、自分の気持ちが整理され落ち着くことが出来たり、自己批判をやわらげたりすることができます 。
⑤ 自己共感を育む
Kristin Neffの提唱する「self-compassion」では、失敗した自分にもやさしく接することを奨励しており、恥ずかしさへの対処に有効とされています 。
6. まとめ:恥ずかしさと向き合うあなたの一歩
恥ずかしさは、人として自然な感情であり、決してすべてがネガティブなものであるわけではありません。その感情と上手に付き合うことで、あなたの大切なものや考え、信念も見えてくるかもしれません。
どんなときに恥ずかしいと思うか、どうして恥ずかしいのだろうか。。
そういったことを振り返ってみることは、あなたらしさを見つけ、よりよく過ごしていくためのヒントとなるかもしれません。
もし恥ずかしさが重くのしかかるときは、専門家のサポートを遠慮なく受けてください。「恥ずかしい自分」も「あなた」であり、あなたはいつだって自分らしく生きる価値があります。
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