【一次予防】とは? 一次予防の輪を広げる取り組み
- popo

- 8月6日
- 読了時間: 4分
「まだ大丈夫。」
「このくらいなら我慢しなくちゃ。」
「もっと大変な人もいるし……。」
そんなふうに思いながら毎日を過ごし、心からも体からもSOSは出ていたけど、気づいたときには心も体も限界に近づいていた…。
そういったことを防ぐために、「苦しくなってから支援につながる社会」だけではなく、「苦しくなる前から心と体を大切にできる社会」がもっと広がってほしいと願っています。
その考え方の一つが、一次予防です。
一次予防の取り組みを学びや施設・病院での経験をもとに地域で活動をし始めていますが、
大変ありがたいことに、少しずつ活動について知っていただける機会に恵まれ、改めて一次予防の大切さを認識させられています。
同時に、「一次予防でなに?」というご質問をいただくこともあります。
そこで、今回は簡単にではございますが一次予防についての説明と、取り組みについてお知らせの意味も込めて記載してみたいと思います。
⭐一次予防とは?
臨床心理学や精神保健・公衆衛生における一次予防とは、
【精神障害やメンタルヘルスの不調が生じる前に未然に防ぐこと(予防)】
また、
【集団全体の発生を減らす取り組み】
といったことを意味しています。
【病気や障害が発症する前に、その発症を防ぐための取り組み】で、その中身としては
〇健康・メンタルヘルスの増進
〇精神疾患の予防、リスクを減らすこと
〇個人だけでなく、生活環境の調整
といったことを含んでいます。
そのため、具体的には
・ストレス対処方法を学ぶ
・セルフケアを身に着ける
・心身の健康について学ぶ
・人や社会との繋がりをつくる
・相談しやすい環境を作る
・孤立を防ぐ
というような活動の内容が含まれてきます。
イギリスではcommunity mental helthやpublic healthの考えが広く取り入れられ、地域で心の健康を支えるような活動が盛んにおこなわれています。
まだまだ研鑽を重ねている段階ではありますが、それでもこれまでの臨床経験や研究、世界のさまざまな現状から、私は、心が苦しくなってから支援につながる社会だけではなく、苦しくなる前から、自分や大切な人の心と体を大切にできる社会・環境があることが重要だと考えています。
日本では、周囲に迷惑をかけないことや我慢を大切にする文化があり、それが相談しづらさにつながる場合もあると言われています。
もちろん、人それぞれ状況は異なりますが、静かに一人で抱え込んでしまう人がいることは決して少なくありません。
頭では「つらいときは相談していい」ことを理解しているけれど、自分のこととなると言いづらさや変に思われるのではといった不安がよぎったりして、難しくなってしまう。
つまり、頭ではつらいときは話してもいいことを理解しつつ、それを自分自身は他人にしづらい、ハードルが高い現状があるようです。
誰に話したらいいかわからない、話したら関係が変わってしまう不安がある、
そういった思いもまたとても自然なことです。
そんなとき、そうした思いを抱えている人が集まって話してもいい場所があれば、それが支えとなるかもしれません。
ときに人と顔を合わせて、同じ空間で表情や声、温度感や空気感を共有する体験を持つことで、深い心のつながりが感じられやすくなることが期待されます。
心と体の健康について、誰もが気軽に学び、考え、語り合えること。
「最近少し疲れているな」
「こんなとき、どうしたらいいんだろう」
「私はこうすると少し楽になるよ」
「自分の場合はこれがしんどくなるな」
そんなふうに、正解や不正解のない悩みについて、安全にお互いの経験や知恵を分かち合えること。
自分にとっての正解や、大切な考えに気づいていけること。
一人ひとりが、自分に合ったセルフケアやウェルビーイングの方法を知り、「自分で選べる」という感覚を持てること。
つらいときには、「助けて」と言えること。
誰かがつらそうなときには、「一人じゃないよ」と寄り添えること。
そして、答えがわからないときには、「わかりません」「教えてください」と安心して言えること。
そんな関係性が当たり前になることを願っています。
そのため、集団療法の治療の場でも大切にされる考え、
「否定をしないこと・されないこと」
「自由な意見を述べていいこと」
「話したくないときは話さなくていいこと」
など、だれもが安心して安全に過ごせる環境を一次予防の場において特に大切に考えています。
ざっくりとではありますが、こういった経緯から、”治療の場”だけでなく、つらく苦しくなる前に立ち止まり、自分をいたわり、心について学び、実際に体験しながら身につけられる「一次予防の場」を広げていきたいと思っています。
そこは、知識を得るだけではなく、人とつながり、自分を知り、小さな安心を持ち帰れる場所。
一人でも多くの人が、自分らしく、よりよく生きるための選択肢を持てるように。
その輪を、少しずつ地域へ、家庭へ、そして社会へ広げていくことが、目標です。

コメント