人を「家」にたとえて考える
- popo

- 6月29日
- 読了時間: 4分
人間は、どこか「家」に似ているのではないか、と考えることがあります。
家にはそれぞれ、外装や内装、組み立て方など違いがありますよね。
木造の家もあれば、レンガ造りの家もあります。
いつ、どこに建てるかによって、耐震構造が重視されたり、断熱性が重視されたり、木造かどうかが選ばれたりと、時代や環境に応じた「つくられ方」があります。
そして同じ地域に建つ家であってもも、一つひとつ細かな違いがあります。
そして、どんな環境で年月を過ごしてきたかによって、その姿は少しずつ違ってきます。
人も同じですよね。
育った家庭。出会った人。文化。経験。大切にしてきた価値観。
同じような環境で育った人同士でも、まったく同じ家が存在しないように、一人として同じ人はいません。
家には、大黒柱や基礎があります。
それは家全体を支える、とても大切な部分です。
人にも、そのような土台や柱があります。
「自分とはこういう人間だ」「これは大切にしたい」「こういう世界を信じたい」
そうした価値観や人生観、文化的背景は、その人自身を支える大黒柱のようなものかもしれません。
それは簡単に取り替えられるものではなく、自分という存在を内側から支えている中心です。もしそれが急に揺らいだり崩れたり、あるいは無理に壊そうとすれば、家全体が不安定になってしまうように、自分自身も大きく揺らいでしまうことがあります。
ですが、家は柱だけでできているわけではありません。
外装を変えたり、内装を整えたり、新しい設備を取り入れたり、役割を終えたものを少しずつ手放したりすることはできます。
壁紙を貼り替えたり、家具を新しくしたり、窓を大きくすることも、照明を変えることもできますね。
人もまた同じなのではないでしょうか。
自分の核となる部分を守りながら、今の環境に合わせて考え方や行動を調整していくことができます。無理にすべてを変える必要はなく、少しずつ手を入れていく、あるいは手放していくことができる存在です。
今まで身につけてきた考え方を少し見直してみる。
新しい行動に挑戦してみる。
「昔はこうだったけれど、今の自分にはこちらの方が合うかもしれない。」
そんな小さな変化を積み重ねながら、人は今の環境に合わせて暮らしやすい"家"へと変化させていくことができます。
もちろん、長い年月が経てば、柱そのものも少しずつ変わることがあります。
たとえば、親になったとき。
大切な人との別れを経験したとき。
異なる文化の中で暮らしたとき。。
人生の節目では、家の骨組みさえ少しずつ育て直していくような出来事なのかもしれません。
変わらないものもある。
でも、変わっていくものもある。
そのどちらも、その人らしさなのだと思います。
そして大切なのは、どの家にもそれぞれの価値があるということです。
木造だから劣っているわけでも、レンガ造りだから優れているわけでもありません。
新しい家が優れていて、古い家が劣っている、という単純な話でもありません。
その土地にはその土地に合った家があり、どの家も、その環境や歴史、使われ方の中で意味を持っています。
家に優劣がないように、人にも優劣はありません。
文化や価値観も同じです。
「良い・悪い」で単純に比べられるものでは決してなく、それぞれの価値観や文化の中で意味づけられながら存在しています。その人自身の価値が変わるわけではありません。
私たちは、ときどき「自分と違う家」を見て驚いたり、「こちらの方が正しい」と思ってしまったりします。
けれど、多くの場合、それは善悪の違いではなく、育ってきた環境や文化の中での意味づけの違いなのではないでしょうか。
もし今の自分に違和感を感じるとき、それは「家そのものがダメ」ということではなく、「今の環境に合うように、少し手を入れられる余地がある」というサインなのかもしれません。
違うから間違いなのではなく、違う理由がある。
そう考えられるだけで、人にも、自分自身にも、少し優しくなれるのではないでしょうか。
自分という家を壊すのではなく、適宜手入れしながら、時に誰かに相談しながら、今の暮らしに合う形を見つけていく。
心理学では、人は環境との相互作用の中で生きている存在だと考えられています。
だからこそ、無理に「別の家」になろうとする必要はありません。
今ある土台を大切にしながら、今の暮らしに合うように少しずつ手を入れていく。
そんなふうに、自分という家を長い時間をかけて育てていけたらいいなと考えています。
あなたの家には、どんな柱がありますか。
そして最近、「少し変えてみてもいいかもしれない」と思える窓や壁紙、家具はあるでしょうか。
家は、一日で建つものではありません。
人もまた、一日で変わるものではありません。
だからこそ、焦らず、今の自分という家を眺めながら、小さな手入れを重ねていけたらいいですね。

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