子育ての悩み~日常のなかで
- popo
- Feb 21
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このページを開いてくださっている方はもしかしたら、子育てをされているご本人、あるいは子育てに関わる方かもしれません。
毎日の子育て、子どもとの関わり、本当にお疲れ様です。
子育ては誰でも最初は初めてですし、全くわからないことだらけなこともありますよね。
どうしたらよいかもよくわからない中で、周囲の人や医療などのスタッフ、育児書、ネットなどで情報を調べながら考えながら育児に臨まれている方も多いのではないでしょうか。
お子さんが複数人いらっしゃる方も、それぞれ子どもごとに違いがありますから、複数人いるからといってわからないことがないわけではないこともあるでしょう。
いろいろわからないこともある中…とは思いますが、心理学がテーマなので、今回は【日々の関り】について、書いてみたいと思います。
*子どもの発達について、ピアジェとワロンの理論
子どもの心の発達について、発達心理学では多くの研究が重ねてこられています。
たとえば、スイスの心理学者ピアジェ(Piaget,J)は認知発達理論を提唱したとても有名な方で、20世紀に最も影響力のあった心理学者の一人と言われています。
ピアジェは、『子どもは自ら環境に働きかけながら発達する』と考え、発達段階ごとに異なる認知的特徴を持つとしました。
具体的には、
・乳幼児期(感覚運動期):五感を使った遊び(触る、舐める、動かす)を大切にする。
・幼児期(前操作期):ごっこ遊びやイメージ遊びを楽しみ、具体的な物や経験を通して学べるようにする。
・学童期(具体的操作期):論理的思考を育むために、具体物を使った学習や、因果関係を考えさせる質問をする。
といった具合です。
自発的な探索や試行錯誤を促す環境をつくり、子ども自身が「なぜ?」「どうして?」と考え自由に試行錯誤できる遊びや活動を取り入れること、適度な挑戦を与え、考える力を育てることを大切に考えました。
具体的には、ブロック遊びやパズルなど、子どもが自ら試して発見する経験や、そのような遊びの中で「どうしたらこの積み木が倒れずに積めるかな?」子どもが少し頑張ればできる課題を与えたりして「自分で考える力」を育むような関りを大切にするといった関わりです。
また、ピアジェと同時期に活躍したフランスの心理学者・哲学者・医師であったワロン(Wallon,H)は、子どもの発達を認知だけでなく、情動や社会性と密接に関連させて考えた点において特徴的な理論を提唱しました。
ワロンは第一次世界大戦で戦傷者のリハビリに関わり、その経験から人間の発達における情動の重要性を強く意識するようになったそうです。
子どもの発達は、情動(感情)と社会との関わりの中で進むと考えたワロンの理論では、子どもの発達は情動・運動・認知・社会性の相互作用によって進むと考えました。
そのため、子どもの感情に共感し、社会的な関わりを大切にしながら発達を支えることが重要になります。
具体的には、
・情動的段階(0〜1歳頃)
乳児は、泣く・笑うなどの情動によって周囲とコミュニケーションをとり、大人の応答によって安心感を得る。愛着やスキンシップが重要とされる時期。
・感覚運動段階(1〜3歳頃)
体を動かすことを通じて環境を知っていき、「自分でやりたい」気持ちが強くなり、自己主張が増える。
いわゆる魔の2歳とよばれる頃。子どもが自由に動いて探求できる環境が大切となってくる。
・投影的段階(3〜6歳頃)
周囲の人の行動を真似し、他者と関わることが増えてくる。ごっこ遊びや役割遊びを通じて社会性が育っていく時期。
・同一化段階(6〜11歳頃)
集団のルールを理解し、友達関係が発展する。
「○○のようになりたい!」と憧れを抱くことが生じてきて学習意欲の高まりがみられるようになってくる。ルールのある遊びや、グループでの活動が発達を促す。
・思考の段階(11歳〜)
抽象的な思考が発達し、論理的な考え方をするようになる。社会の中での自分の立場を意識するようになる。 子どもと対等に話し合い、考える機会を持つことが大切となってくる。
このような発達段階を踏んで行くと考えられています。
実際に各年齢のお子さんと触れられていらっしゃる方は、「確かにそんな感じ」と納得できる部分もあるのではないでしょうか。
*子どもとの関わり方
上記のような理論を踏まえると、前提としては各発達段階で、細かには異なってくるでしょう。
そのうえで、ざっくりと子どもとの関わり方を総合しまとめると、
①安心できる環境で、自発的な探索や挑戦を促す
(例:親が近くで見守る中で、新しい遊びに挑戦する)
②子どもの思考を尊重しつつ、感情も大切にする
(例:「どう思った?」と問いかけながら、気持ちにも共感する)
③遊びや日常の体験を通じて、認知的・社会的な成長を支える
(例:ルールのあるゲームをしながら、考える力と協調性を育む)
という感じかなと思います。
ただ、理論を意識しすぎて頭でっかちになりすぎる必要はなくて、一番大切なことは、
目の前にいる子どもが、なにが好きなのか、なにをしたいと求めているのかを見て、
それがわかる際にはそれをする。関わりの中で考えや気持ちを聴いてみる、ということではないでしょうか。
お絵描きがやりたい、本を読んで欲しい、などと言われたとしたら、なるべく応えてあげる。
嬉しかった、難しかった、悲しかった、など感情が述べられた際には「そうだったんだね」と寄り添ってあげる。
親や保護者も一緒に楽しめそうなことは、大人側もどんどん挑戦して一緒に楽しむのも良いですね。
一緒に歌ったり踊ったり、外遊びをしたり、お料理をしたり…なんでもいいのです。
特別なことを頑張ろうとしすぎなくて良くて、目の前の子どもが「今求めているもの」に出来る限りで応える、出来ないときにはできないことを真摯に伝える、そういった真摯な関わりが重ねていけたらいいですね。
そしてなにより、関わる親や養育者の心身の健康はとっても大切です。
なるべくゆとりをもって子どもと関わることのできるように、セルフケアも大切になさってくださいね。
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