様々な事情で日本を離れて過ごすことになるとき、同時に様々な悩みや課題が生じてくることがありますが、その中のひとつに「キャリア」についてが挙げられるのではないでしょうか。
私自身もこのことにとても悩みました。今もまだ解消しきっているわけではないかもしれません…。
それまで日本で働いていた場合、移住するにあたりその仕事を休むか辞める方が多いかと思います。
私の場合は、退職をしました。
とても働き甲斐のある職場で、学びがあり、まだこれからやりたいこともあった職場だったので、退職をするのは私にとって勇気のいる選択でしたが、ロンドンに引っ越すのであれば仕方がありません。
心理の仕事が好きでこれまでずっと続けてきたこともあり、ロンドンに移住して仕事をしない生活がどうにもストレスで苦しかったことを覚えています。
文化も違えば制度も違う、言葉も思うように話せない、そして私らしくあるために重要だった仕事がなくなり、自分はなにをしているのかと、存在意義についてまで悩み、渡英後しばらくはかなりdepressiveな状態でした。
臨床心理士の場合、イギリスの心理士会で求められる条件をクリアしたらHCPCという心理師としてイギリスで働く資格を得ることが出来るのですが、それには高い英語力が必要で、私はそれに届かず勉強の日々。
そして勉強の中でイギリスの心理学や社会制度について学ぶのですが、日本との違いにたくさん出会い、難しさにぶつかっては心が折れそうになったり。。。
最初はキャリアの悩みに押しつぶされそうになり、理想自己と現実自己の乖離も大きくなってしまい、つらくてたまりませんでした。
それから日々を過ごすうちに、「今の自分だからできること」にフォーカスし、勉強の他に現地での仕事も組み立てていき、リズムが出来てきてからはずいぶん気分も安定し、勉強をしつつ、グループセラピーや個人カウンセリング、イギリスの制度の中で過ごす日本人の方の支援を小さく行っています。
自分の居場所というか、自分が出来ること、というものを見つけて実行することは、私の中で大変大きな力を持っていて、ポジティブな方向へ引っ張ってくれたように感じられています。
そして、家族の転勤、海外移住に帯同する家族の方で、ご自身のキャリアについて悩まれるという方が決して少なくないことを感じています。
そういった方同士で出会い、気づき合うことで、また新しい出会いや、居場所を見つけていけるかもしれません。
それぞれのご事情があり海外へ渡られ、自分のアイデンティティを失ったような気持ちになってしまうこともあるかと思います。
駐在・滞在中、仕事をしない時間を楽しむ、子どもとの時間を過ごす、海外にいるからこそできる学びをする、ボランティア活動をする…などさまざまな選択肢があります。
なにを選ぶか、自分の歩む道を決める権利を私たちそれぞれは持っています。
吐き出す場所や壁打ちが必要な際には、いつでもお気軽にメッセージをお送りください。
そして必要なだけ時間をとってしっかり悩み、自分の納得できる道を見つけて進んで行けるといいですね。
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