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人間関係と陰口について 歴史と文化から


これまで、日本、アメリカ、イギリスと住んでみて、その国ならではの考え方や文化があるものだなあと感じられることがありました。

違いがあるのはよく聞く話だし、そうだろう、とも想像できるような気もするのですが、いざその中に身を投じてみると、身をもって感じさせられるような経験が数多くあり、どれも新鮮で強烈な刺激を与えてくれました。


その中のひとつ「人間関係」は興味深く、今も考えさせられることが多いものです。

付き合い方、距離の持ち方、かける言葉、いずれも特色があるものだなあと感じられています。

今回は「陰口」について、以下に頭の整理をしたいと思います。



さて、心理学や社会学でも、文化によって「悪口の言い方」や「対人ストレスの処理方法」の違いについて指摘されているようです。


文化人類学者のエドワード・ホール(Edward T. Hall)が「ハイコンテクスト文化・ローコンテクスト文化」理論を提唱しました。


 日本(韓国、中国など)はハイコンテクスト(非言語的コミュニケーション)文化であり、アメリカや西欧などの国はローコンテクスト(言語的コミュニケーション)文化の強い傾向にあるようです。


どちらが優れているかという議論ではなく、そういう文化を持っている、ということですね。


確かに、育った日本では「察する」「空気を読む」「顔色を窺う」「阿吽の呼吸」「つうと言えばかあ」みたいなことはよく言われたし、暗黙の了解のようになっていたところがあったように思います。


一方で、アメリカやイギリスではそういったものがないわけではありませんが、基本的に言葉で伝えられるため、できないとまずいようなプレッシャーのようなものはないように思います。


そして、面白いことに、ハイテクスト文化では直接的な批判を避け、陰で悪口を言う傾向があり、ローテクスト文化では直接的な批判が多いが、裏で悪口を言うことは少ない、という傾向があるようなのですね。


なるほど、確かに集団主義と個人主義についての研究を考えると、 日本を始め、集団主義の特色のある国では、陰口や噂話が発生しやすく、個人主義の強い国では、陰口よりも直接的な対話が多い傾向にあるとも聞きます。


そういった、その国ならではの歴史や文化に根差したコミュニケーションスタイルがある、ということなのですね。


それでは、日本について考えてみるとどうでしょうか。



日本の「村社会」「集団主義的」な文化と陰口の関係


日本は歴史的に「村社会」の文化がありました。どんな人がいるかお互いが知っているような結束力の強い、あるいは閉鎖的な社会があり、協力して過ごしていました。

そういった環境があったため、どうしてもみんなが同調しなければならない圧力が強いかったのですね。 そのため、不満に感じられることがあったとき、直接衝突を避けつつ、陰で不満を言うような習慣が形成されていきました。


そんな「和」を大切にする集団主義の文化・社会でしたから、表立って対立することを避ける傾向があったのですね。そのため、表では波風を立てずに付き合い、裏で不満を発散するという行動が生まれやすい状態になっていました。

どうしても「空気を読む」とか「同調圧力」といった力の働きが影響を及ぼすため、直接批判するのが難しい環境があるのも、影響しているようです。


そうした歴史的背景もあり、環境に変化はでてきてはおりますが、集団主義的なあり方はしっかりと継承されており、「みんなと一緒」「和を乱してはいけない」といった同調圧力が働きやすい現状があります。

他者と異なる意見を述べてみたら「あいつ空気読めないな」と陰で言われることもあるわけですね。

あるいは、そうなるのではないか、と怖くなって面と向かって意見が言いづらくなってしまう。


こうして集団の圧力があるあまり、相手のことを気にしたり、何を考えているか求められているか考えすぎてしまうなど気を遣ったりして、緊張し、疲れてしまわれることもあるのでしょう。

そして難しいことに、学校、労働、人間関係、SNSなどストレスフルな環境があり、多くの方にとってストレスが溜まりやすい状況があるのでしょう。

でも直接発散することが暗黙に制限されたり、プレッシャーになったりする。

すると、蓄積されたストレス発散の手段は陰口や、最近ではSNSでの匿名での攻撃などがストレス発散の手段につながりやすいのかもしれませんね。


もちろん、日本人だけが陰口を言うわけではなく、悪口やゴシップは世界中にあります。アメリカでもイギリスでも、見聞きすることはあります。

ただし、その表現の仕方や文化的背景もやはり国によって異なるようです。


ローコンテクストの文化のある国では特に、直接意見を述べることが多く陰でいろいろいうような陰湿な感じにはなりづらいところがあるようです。

だからといって、衝突やいじめがないかというとそういうわけではないですが、職場や学校でゴシップやいじめが問題になったり、アメリカなどでは「陰口やいじめ」が訴訟問題になることもあるようです。


国によって、歴史や文化も異なれば、継承するコミュニケーションスタイル、考え方、それに対する対応も様々なのだなあと、改めて学ぶような思いです。



人付き合いで疲れを感じられている方へ


人付き合いって、本来は楽しいものであるはずなのに、気を遣いすぎたり、陰口を耳にしたりすると、一気に疲れてしまいますよね。

特に、周囲でネチネチした関係を持っている人がいるときには、それを見ているだけで心が重くなってしまうものです。

そういったものに疲れを感じて、静かに本を読んだり、勉強や仕事をしているときに心が安定するような方がいらっしゃるというのも、とても自然なことだなあと思います。


無理に誰かに合わせたり、社交的でいたりする必要はありません。

世の中には、広く浅く付き合うことが得意な人もいれば、少数の信頼できる人と深く付き合うことを好む人もいます。


あなたが「自分の生活にとってこれが大切」と感じるものを守りつつ過ごすことが出来れば、それで十分という考えもあるでしょう。

自分にとって快適な人間関係の形を大切にすることのほうが、長期的に見て心の健康に良いことだろうと思います。


あなたを苦しくさせるような人間関係、社会や環境から可能な限り少し距離をとってみつつ、自分が心地よいと思える人や環境との関係を大切にできるといいですね。


わかっちゃいるけどどうにもうまくいかない、なんてこともあるでしょう。


そんなときには辛さを攻撃ではない形(運動、カラオケ、芸術活動、カウンセリングなど)で吐き出しながら、自分を責めたり無理をしたりしすぎずに、穏やかに過ごせるような工夫をしていけるといいなと願っています。


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