SOSを逃さないように。TALKの原則とACTについて
- popo
- Jan 29
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2024年、小中高生の自殺者数は過去最多の527人にのぼるとの調査結果が出ました。
この数字に含まれるひとりひとりの方の過ごして乗り越えてこられた時間は、どれだけ過酷で辛くて、大変なものだっただろうと…想像するに余りあります。
そして関係する方にとっても、深い悲しみや憤り、罪悪感…といったものが襲い掛かり苦しめられているのではと想像されています。
本当に辛すぎる。悲しくてつらくて、言葉が見つかりません。
そして、今もギリギリの中を、懸命に耐えてなんとか生きながらえ過ごしていらっしゃる方もおられることでしょう。
辛いとき、困ったとき、ただでさえ苦しいのに、それを誰かに伝えることはとても大変で、勇気の要ることなのです。
ものすごく大変で、なかなか言えない、言いづらいことはたくさんあるのです。
大変な時ほど、「辛い」「大変だ」「助けて」と言えないことがあります。
「死にたい」という言葉の裏には「死にたいくらいつらい」「その苦しみを和らげることができたなら、生きたい」という気持ちが隠れていることとも考えられます。
だからこそ、私たち周りの大人は、こどもの小さな変化に注意を向け、敏感に察知して、子どもの言うことを肯定的に受け止め、話されることに理解を示し、優しく声をかけてあげてください。
子どもとどのように関わればよいか、難しく悩まれることもきっとあるかと思います。
以下に関わり方のヒントを紹介を記載しますので、ぜひ今日からの関わり方のご参考にしてみてください。
TALKの原則
TALKの原則とは、自殺の危険が増している人への対応の仕方、『Tell』『Ask』『Listen』『Keep safe』の頭文字をとったものです。
以下にそれぞれについて説明します。
①Tell
はっきりと言葉にして「あなたのことを心配している」と伝えます。誠実な態度で伝えることが大切です。
「元気がなさそうに感じていて、ちょっと心配しているよ」というようなストレートな表現で大丈夫です。
②ASK
「自殺」や「死にたい気持ち」についてはっきりと率直に尋ねます。
「自殺」という言葉を使うのは勇気がいるかもしれませんが、使わないようにすることで、本人にとって「自殺」を言いづらい言葉として隠したり、言ってはいけないというような暗にメッセージとして伝わってしまう可能性もあります。死にたい気持ちを助長するものでは決してありません。ストレートに「自殺」「死にたい気持ち」といった言葉を用いてきくことも大切です。
③Listen
絶望的な気持ちを抱いていると考えられますので、話されることを遮らずにしっかりと耳を傾けて聴く、傾聴することです。
子どものペースで、ときには時間をかけて話されることでしょう。
大切なこととして、話される言葉を遮ったり、せかしたりしないようにしてあげてください。また、アドバイスや説教もしないように気をつけます。
死ぬのはいけないことだとか、道徳的な話を持ち出したりせず、紡ぎ出される言葉のありのままの気持ちをしっかりと受け止めてあげてください。
④Keep safe
子どもの安全の確保をします。置かれている状況に危険がある場合には、すぐにそこから引き離しましょう。引き離すときに困難が生じる場合には、一人で頑張ろうとせず、必要な助けを求めましょう。
こどもの命を守る周囲の方の命もまた大切です。決して抱えて頑張りすぎずに、頼れる人を頼って助けを求めましょう。
(例:学校、警察、医療など)
また、誰かが自殺願望について打ち明けてきた場合に、大切な関わり方・態度、ACTという方法があります。
ACT
ACTとは、Acknowledge, Care, Tell
①Acknowledge(問題に気づき、認めること)
自殺について打ち明けるということ自体、大変な勇気の要る行動です。
それをあなたに打ち明けた、ということは、とても大きい意味を持ちます。
打ち明けられた際には、決して無視をしたり蔑ろにしたりせず、誠実な態度で聴いて、その気持ちを認めてあげてください。
「そんなバカなことは考えないで」といったアドバイスや説教は、辛い気持ちを受け入れてもらえた感覚を抱きづらく、心を閉ざさせてしまう危険があるので言わないように気をつけましょう。
②Care(誠実な態度で関わる)
真剣に話を聴き、誠実な態度で関わります。自分が助けてあげる!という関りをするということでは決してなく、その人のために、どんな助けが自分にできるだろうか、といった思いやる誠実な態度を示すことも大切です。
③Tell (信頼できる大人につなぐ)
信頼できる大人や、専門家に相談してみることを提案してみることです。
この対応(ACT)は自殺の危険を感じたとき、決して友達同士で秘密にしたりせず、信頼できる大人に相談をすることを強調するものです。
こころの健康は、その後の長い人生に関わってくる重要な事柄です。
決して軽く扱われていいものではありません。
最近イライラしてるな、元気がないな、落ち着きがないな、食欲がないな、眠れてなさそうだな、怪我してるな…など
なにか様子が変だぞ、と感じたら、「どうしたの?」「心配だよ」などと声をかけてあげてください。
子どもが「助けて」と言えたなら、どうか迷わず助けてあげてください。
子どもを守れるのは、ゲートキーパーになれるのは、周りにいる人、大人、私たち一人ひとりです。
子どもも、大人も、生じている問題や辛い気持ちへの対処として『自殺』という手段を選んでいることが多くあると言われています。
死にたいくらい、辛いんです。
ひとつひとつの声を大切に、やっとの思いで発したSOSをこぼさずに汲み取れますように。
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