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Your Perch
~心の止まり木~

セルフコンパッション(自己への慈しみ)とは。甘やかすこととは異なる理解
セルフコンパッション(self-compassion)は、Kristin Neff(2003)の研究をきっかけに広く知られるようになった概念です。 日本語では「自己への思いやり」や「自分への慈しみ」と訳されます。 それは、 自分の苦しみに気づき、それに対してあたたかく応答しようとする姿勢 のことを指します。 つらいとき、失敗したとき、思うようにできなかったとき、 私たちは、自分に対してとても厳しくなってしまうことがあります。 「どうしてできないのだろう?」 「また失敗した」 「自分はダメだ」 その声は、励ましのつもりであることもあります。 けれど同時に、強い緊張や不安、恥を生み出し、結果的に自分を苦しめてしまうこともあります。 そんなときに支えとなる考え方が、セルフコンパッションです。 セルフコンパッションは、主に3つの要素から成り立っています。 ① 自分への優しさ(Self-kindness) 自分を厳しく裁くのではなく、困っている友人に向けるような言葉を自分にも向けてみる姿勢です。 これは「甘やかす」こととは異なります。とても大切なことな

popo
2月11日読了時間: 4分
わからない行動の奥にあるもの ― 二つのまなざしで人を見るということ
誰かに「理解が難しい」「なんでだろう」と感じる行動があるなと思ったことはありますか? あるいは、ご自身について、そんな行動をしているのではないか、そんな行動をしてしまっている気がすると感じられるようなことはあるでしょうか。 ずっと寝ている、お酒をたくさん飲んで人・行動が変わる、ゲームに没頭する、避ける、リストカットをする、人に冷たく当たってしまう……。 それらの表面だけを切り取って見れば「よくないこと」「問題行動」と言われてしまいやすい姿です。 誤解を招きやすい言葉やその印象のそこだけ切り取られて、ときに差別や偏見が助長されることがある様子を感じては悔しい思いをすることは、臨床をしている中で決して少なくありません。 ときに人から理解を得られづらかったり、怠けている、甘えているといった見方をされることもしばしば生じていることを理解しています。 ですが、こういった行動は、誰もが人生のどこかで経験しうる“人間らしい反応”でもあります。それをしたら、もうダメだ、ということでは決してありません。 こうした行動の裏側には、 その人が必死に守ろうとしている何か

popo
2025年12月7日読了時間: 5分


色彩を取り戻す、カウンセリングという体験
色彩を取り戻す対話 ― 開かれた共感と「ともに在る」関係性 ― 海外での暮らしや日本国内の転居を重ねるなかで、文化や言葉の違いが新しい光を投じる瞬間があります。その光はたくさんの新しい刺激を含んでおり、ときに眩しく、ときに影をつくります。たとえば、心の隅に隠されていた感情や考えがふと浮かび上がってくるような、そんな瞬間です。けれどその刺激が織りなす光と影の中で、人と人とが、あるいは自分自身に、出会いなおす時間が生まれるのだと、私は感じています。 私は臨床の場で、クライエントの苦しみを「治したい」「解決したい」と考えているわけではありません。もちろん、回復は願います。ですが、それよりも、 開かれた共感と自己一致を保ちながら、その人の世界をともに歩くこと を大切にしています。 私たちの関係は、時に泥水がじんわりと染み込みこんでいくように、綿あめが水に溶けていくように、異なる存在同士が溶けあい混ざり合うような、 関係が深まる体験が少しずつ積み重なっていきます 。 カウンセリングは、そうした体験を重ねる中で、やがて色彩を取り戻していくような旅でもあります

popo
2025年11月3日読了時間: 5分


心の「回復」とは?
心の回復というと、どのようなイメージが湧くでしょうか。 「元気になる」 「前の自分に戻る」 「もう大丈夫になる」 そんなイメージを抱かれる方もきっとたくさんいらっしゃるかと思います。 なにか大きな出来事があって傷ついた心、細かな傷つきを重ねて複雑に傷つき疲れてしまった心…いろんな場合がありますね。 結論からお伝えすると、実際の“心の回復”は、決して一直線の道ではありません。 揺れながら、迷いながら、時に後戻りしながら進むような、複雑さを持っていることがほどんどです。 臨床心理学やリカバリー研究では、回復は「苦しみが消えること」ではなく、**“苦しみと共に生きながら、自分らしさを取り戻していく過程”**と捉えられています。 重要なのは「症状が完全に消えること」ではなく、たとえ困難や制約を抱えていても「自分らしく、意味ある生活を再構築する力」を取り戻すことです。 以下でもう少し詳しく研究を紹介しつつ考えてみたいと思います。 〇回復は「元に戻ること」ではなく「新しい自分と出会うこと」 アメリカの心理学者ウィリアム・アンソニー(Anthony, 1993

popo
2025年10月21日読了時間: 7分
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